前回の記事では、デジタル時代だからこそ大切にしたい「紙」のアナログな広報活動について、その温かみや、一般的な印刷物の種類を「誰に」「何を」伝えるか、という視点でご紹介しました。
今回はその続編として、さらに一歩踏み込み、「私がお預かりしているお寺ならではの、オリジナルの工夫」についてご紹介したいと思います。
情報を伝えるだけでなく、お寺の「想い」や「個性」を形にし、受け取った方とのご縁を深める。そんな独自の取り組みが、これからの広報活動ではとても大切だと感じています。
工夫その1:「これ一冊あれば」の安心感を。『オリジナル聖典』
お寺にお参りされた方から、「お経を一緒に読んでみたいけれど、何を用意したらいいか分からない」「お経は難しい」というお声をいただくことがあります。
そこで当寺では、オリジナルの聖典(お経本)を作成しました。
これは、私たちが日々お勤めでお読みするお経をベースに、その意味が分かりやすいよう「現代語訳」を併記したものです。声に出してお読みすることはもちろん、読書のように現代語訳を味わうことも可能です。
こだわったのは、「この聖典さえ手に入れれば、いつでも安心してお参りし、一緒にお経を読める」という一冊であることです。
この聖典、デザインからデータの作成まで、すべて私(住職)自身で行いました。そして、印刷と製本はプロの印刷屋さんにお願いし、しっかりとした本に仕上げていただきました。
自分たちで心を込めて作ることで、単なる「お経本」ではなく、「私たちのお寺の聖典」という特別な一冊になります。これをご門徒の皆様が持ってくださることで、「〇〇寺のご門徒である」という意識の醸成、お寺との一体感にも繋がっていると感じています。
工夫その2:「知りたい」に的確に応える。『9種類の目的別リーフレット』
お寺の紹介といえば、歴史やご本尊、行事などをまとめた「三つ折りの総合パンフレット」を思い浮かべる方が多いと思います。もちろんそれも大切ですが、お寺を訪れる方の「知りたいこと」は、実はもっと具体的で多様です。
そこで当寺では、総合パンフレットとは別に、特定のテーマに絞った9種類のリーフレットを作成し、本堂の入口などに設置しています。
<〇〇寺 目的別リーフレット(全9種)>
- ご門徒(檀家) -門徒とは-
- 社会支援活動 -子ども達を支援-
- 法要・法座 -お寺にお参りしましょう-
- お経・聖典 -お経を読みたい方へ-
- ご法事やお参り -意味と流れ-
- 永代経懇志 -大切な方の名を刻む-
- 院号 -篤き思い ご本山と共に-
- 永代供養 -永代合葬墓・須弥壇分骨-
- 墓じまい -お墓の「これから」を安心に-
例えば、「お墓の今後について相談したい」という方が、いきなり総合パンフレットを手に取っても、知りたい情報にたどり着くのは大変です。 しかし、「9. 墓じまい」のリーフレットがあれば、その方の具体的な疑問や不安に、まっすぐ応えることができます。
「4. お経・聖典」のリーフレットを手に取った方には、先ほどのオリジナル聖典をご案内することもできます。
このように、参拝者ご自身の関心に合わせて必要な情報だけを持ち帰っていただけるようにすることで、より深くお寺のことを知っていただくきっかけになります。
まとめ:「お寺ごと」の工夫こそが、想いを伝える鍵
前回、広報活動は「誰に」「何を」伝えたいのかを整理し、優先順位をつけて取り組むことが大切だとお伝えしました。
そして、その「誰に」「何を」を突き詰めて考えていくと、自然と「自分たちのお寺ならではの工夫」が見えてくるはずです。
- ご門徒の皆様に一番伝えたいメッセージは何か?
- 地域の方々が、今どんなことに悩み、お寺に何を求めているか?
それを形にするのが、オリジナル聖典であり、目的別のリーフレットでした。 「お寺それぞれにあったリーフレット(印刷物)」を作ること、そしてそれを自分たちの手でデザインしたり、言葉を紡いだりすることは、非常に効果的です。
デジタルが手軽な時代だからこそ、あえて手間をかけたアナログな印刷物は、受け取った方の心に強く、そして温かく響くと信じています。
皆様のお寺でも、大切にしたい想いを「紙」という形にする、オリジナルの広報活動を考えてみてはいかがでしょうか。

