これまで、アナログな印刷物から始まり、お寺の「本拠地」であるホームページの重要性や、発信内容についての注意点などをお話ししてきました。
さて、ホームページが「お店(本拠地)」だとしたら、次にご紹介する「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)」は、お店の存在を知ってもらうための「街頭でのチラシ配り」や「日常の挨拶まわり」のようなものです。
今回は、お寺の広報活動において、X(旧Twitter)やInstagram、Facebook、LINEなどをどのように活用していくか、その第一歩についてお話しします。
ホームページだけでは「待っている」状態
どんなに立派なホームページ(お店)を作っても、それだけで人が来てくれるわけではありません。検索してたどり着いてくれるのを「待っている」状態だからです。
そこでSNSの出番です。 SNSは、こちらから人々の日常の中に「お邪魔します」と顔を出し、お寺の存在や活動を積極的に知ってもらうためのツールです。
「本日はこんなお花が咲きました」 「もうすぐ〇〇という行事がありますよ」
こうした発信を通じて、「〇〇寺」という名前を、人々の記憶の片隅にそっと置いておくことができます。
「多くのチャンネル」が「多くのご縁」に繋がる
「SNSと言っても、XやInstagram、いろいろあってどれをやればいいか…」と悩まれるかもしれません。
もし迷ったら、「できるだけ多くのチャンネル(SNS)を、まずは開設してみる」ことをお勧めします。
なぜなら、SNSによって、それを使っている層(年齢層や興味の方向性)が全く違うからです。
- Instagramで美しい風景写真を探している人
- Xで地域のリアルタイムな情報を知りたい人
- Facebookで、知人や地域のコミュニティと繋がりたい人
- LINEで、確実な情報(行事案内など)を受け取りたい人
お寺がInstagramしかやっていなければ、Xを使っている人には永久に出会えないかもしれません。 チャンネルを多く持つということは、それだけ「ご縁の入り口」を多く持つことに繋がります。
「あのSNSで偶然見かけたお寺だ」 そんな「小さな繋がり」を、少しでも多く作っておくこと。 その小さな接点が、いつかその人が本当に困った時、お寺を思い出してくれる「命綱」になるかもしれないのです。
完璧でなくていい。「些細な日常」こそが強みになる
「でも、SNSに毎日投稿するような、特別な話題なんてないし…」 「住職が一人で全部やるのは大変だ…」
そう思ってためらってしまう方が、一番多いのではないでしょうか。 ご安心ください。お寺のSNSは、完璧である必要は全くありません。
少ない投稿や日常の些細な投稿でいい
むしろ、「日常の些細な投稿」こそが、SNSの強みです。
- 「本堂のお掃除が終わりました。清々しい朝です」
- 「境内の猫が、日向ぼっこをしています」
- 「お供え物のお下がりで、こんなお菓子をいただきました」
- 「境内にこんなお花が咲きました」
- 「門前の掲示板の掲示を変えました」
こんな、本当に些細なことでいいのです。 大切なのは、凝った内容をたまに投稿することよりも、少なくても、細く長く「続ける」こと。
こうした日常の断片が、「あのお寺は、今日もちゃんとそこにあるんだな」「住職さんは、こんなことを感じているんだな」という、温かい「体温」として人々に伝わります。それが、ホームページの「人柄」の部分を補強し、お寺への親近感や安心感に繋がっていくのです。
ご門徒さんに投稿していただく、という選択肢
また、すべてを住職や寺族(お寺の家族)だけで背負う必要はありません。 例えば、お寺の行事やお祭りの際に、「ぜひ皆様も、#〇〇寺(ハッシュタグ)をつけて写真を投稿してくださいね」とお願いしてみるのも一つの手です。
また、寺報などの作成に携わってくださる広報の委員会のようなものをご門徒さんで組織されているお寺も多くありますが、そういった会を作って支えていただくのも素晴らしいですね。
ご門徒さんや参拝者さんの視点で切り取られたお寺の風景は、私たち運営側とは違った魅力にあふれているものです。そうした「第三者の温かい口コミ」が、SNSを通じて自然に広がっていくことは、お寺にとって何よりの財産になります。
効率化ツールも賢く活用しよう
「続ける」ことが大切とは言え、毎日SNSにログインして投稿するのは負担です。 特に、複数のSNS(XとInstagramとFacebookなど)を運営していると、同じ内容を何度も投稿するのは大変ですよね。
そんな時は、便利なツールを賢く活用しましょう。
- 予約投稿サービス
- 週末に時間があるときに、来週1週間分の投稿をまとめて作っておき、「月曜の朝8時に投稿」「水曜のお昼12時に投稿」と予約しておくことができます。
- 一斉投稿サービス
- 1つの投稿内容を作成するだけで、X、Instagram、Facebookなど、複数のSNSに同時に(一斉に)投稿してくれるサービスです。
こうしたツールを使えば、日々の投稿作業の負担を大幅に減らし、無理なく「続ける」体制を作ることができます。
まずは「始めてみる」ことが一番大切
難しく考えすぎる必要はありません。 いきなり全てのSNSを使いこなし、毎日投稿する必要もありません。
まずは一つ、ご自身が一番使いやすそうなものを選んで、アカウントを作ってみる。 そして、週に一度でも、月に一度でもいいから、何かを発信してみる。 (もちろん、得意なご門徒さんがいれば、少しお手伝いをお願いしてみるのも良いでしょう)
「まず、始めてみる」
その一歩が、お寺と社会との間に、新しいご縁の道を切り開くことになります。 皆様も、お寺の「日常」を、気軽に発信してみてはいかがでしょうか。

