現代はスマートフォンやSNSが広まり、情報を得るのも発信するのもデジタルが主流になりました。もちろん、お寺としてもブログやSNSでの発信はとても大切だと考えています。
しかし、そんな時代だからこそ、私は「紙」の持つ力を見直したいと思っています。 一枚の紙に印刷された文字や写真。それを手に取った時の「手触り」。 インクの匂いや、紙の質感。そうしたアナログな印刷物には、画面越しでは伝わりにくい「温かみ」や「想い」を乗せることができるのではないでしょうか。
お寺の広報活動において、アナログな印刷物は、お寺の想いを形にして、大切な方々の「手元」に直接お届けできる、とても有効な手段です。
今回は、お寺の広報活動で使われる様々なアナログ印刷物を、「誰に」「何を」伝えたいのか、という視点でご紹介します。
目次
ご門徒さんへ(継続的な関係づくり)
いつもお寺を支えてくださっている門徒さんとは、継続的な関係を築いていきたいものです。お寺の「今」をお伝えし、繋がりを深めるための印刷物です。
- 寺報
- お寺の活動報告、行事予定、住職の法話などを掲載する、お寺の新聞です。年2回や季刊(年4回)などで発行し、郵送や手渡しをすることで、お寺の活動を知っていただき、安心感や親近感を持ってもらうことを目的とします。
- 年間カレンダー
- 年末にお配りする、翌年の行事予定が書き込まれたカレンダーです。法語(仏様の教え)や仏様の絵が入ったものも多く、ご家庭のよく見える場所に飾っていただくことで、一年間を通してお寺を身近に感じてもらえます。
- 各種案内状(法要・行事)
- 大切な法要や、ご門徒さん向けの行事のご案内です。デジタルで一斉送信するのではなく、一通一通、封書や往復はがきでお送りすることで、お寺としての「丁寧さ」や「大切に思っている」という気持ちが伝わります。
地域の方・初めてお参りする方へ(お寺を知ってもらう)
「お寺は敷居が高い」「何をしているか分からない」と思われがちな面もあるかもしれません。地域の方や、ふらっとお参りに来てくださった方に、お寺を「開かれた場所」として知っていただくための印刷物です。
- パンフレット / リーフレット
- お寺の歴史(縁起)、ご本尊様、文化財、境内の見どころなどをまとめた総合案内です。三つ折りのものや、A4一枚のものなどがあります。参拝の記念として持ち帰っていただき、ご自宅で読み返してもらうこともできます。
- ポスター / チラシ
- お祭り、特別拝観、コンサート、マルシェなど、一般の方が参加しやすいイベントの告知に使います。地域の掲示板やお店に貼ってもらったり、新聞折込やポスティングをしたりすることで、「お寺でこんな面白そうなことをやるんだ」という発見と、足を運ぶきっかけを作ります。
- 一口法話(ひとくちほうわ) / 今月の言葉
- 山門の掲示板や、本堂の前に置く、A4一枚程度の読み物です。難しくない仏教の教えや、心が少し軽くなるような言葉を載せます。「お寺に来たら、何か良い言葉に出会えた」という体験を持ち帰っていただくためのものです。
- 各種教室・講座の募集案内
- お寺で行う写経、写仏、ヨガ、法話会などの参加者を募集するチラシです。お寺を「学びの場」「集いの場」としても活用してもらうための入り口になります。
優先順位をつけて、できることから始めてみませんか?
もちろん、これらすべてを一度に始める必要はまったくありません。 大切なのは、 「今、私たちのお寺は、一番『誰』に、『何』を伝えたいのか?」 を、まず考えてみることです。
- 「まずは、いつもお世話になっているご門徒さんに、もっとお寺の活動を知ってほしい」 → それならば、「寺報」の発行を最優先にしてみよう。
- 「地域の子どもたちが集まるお祭りを企画したから、とにかく多くの人に来てほしい」 → それならば、地域の掲示板やお店に貼る「ポスター」や「チラシ」を作ってみよう。
- 「参拝者が増えてきたけれど、お寺の歴史が伝わっていないかもしれない」 → それならば、簡単な「リーフレット」から作ってみよう。
このように、伝える目的と優先順位をはっきりさせることで、今やるべきことが見えてきます。
デジタルでの発信と、手触りのあるアナログな発信。 その両方を上手に使い分けながら、お寺の持つ魅力や、仏様の温かい教えを伝えていくことが、これからの広報活動には大切だと考えています。
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お寺の広報活動(5):「紙」の広報活動(独自の工夫編)
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