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  3. お寺の広報活動(1):始める前に押さえたい3つの基本と大切な心構え

お寺の広報活動(1):始める前に押さえたい3つの基本と大切な心構え

2025 10/18

私の発信・広報活動の根本にあるのは、僧侶としての本分である「仏教のみ教えを広くお伝えする」ことです。私が行う様々な発信や広報活動は、すべてこの目的を達成するための「手段」です。

目次

お寺の広報活動を始める上で重要なこと

 お寺が広報活動を始める上で、まず考えるべき大切なことが3つあります。

  1. 何のために(目的)
  2. 誰に(対象者)
  3. 何を(内容)

 これらを明確にすることが、広報活動の第一歩です。

何のために?(目的と目標を整理する)

 広報活動を考える上で、「目的」と「目標」を区別することが非常に重要です。

  • 目的:最終的に達成したい大きなゴール(例:「み教えを伝える」)
  • 目標:目的を達成するための中間地点(例:「法要への参拝者を増やす」)
  • 手段:目標を達成するための具体的な方法(例:「広報活動をする」「声かけをする」)

 広報活動は、あくまで「手段」の一つです。

 例えば、最終的な「目的」が「み教えを伝える」ことだとします。 そのための一つの「目標」として、「ご門徒以外の方にもみ教えを伝える」と設定、更にその目標を達成するために「ご門徒以外の方にもお寺に来ていただく」という目標を設定したとしましょう。 そうすると、その「手段」として「一般の方も参加しやすいイベントを企画し、新聞広告を入れる」といった具体的な広報活動が見えてきます。

 まずは「何のために広報するのか」という根本の目的を明確にすることで、効果的な手段(広報の方法)を選ぶことができるようになります。

 逆に言えば、手段であるそのイベントがどのような目標を達成するためのものなのか、その目標を達成することがどのように目的達成に寄与するのか精査することによって、イベントそのものの意味をしっかりと考えることができます。

誰に?(伝えたい相手を深く知る)

 広報は「誰に」伝えるのかを具体的に考える必要があります。

 「ご門徒向け」と一口に言っても、年齢層、性別、お住まいの地域(近隣か遠方か)など、様々な属性の方がいらっしゃいます。それぞれの立場や環境によって、抱えている悩みも異なります。

 広報の原点は「相手を知る」ことです。

 普段、皆様から寄せられる「質問」や「悩み」は、現代社会特有の課題に応えるための非常に貴重な情報源です。私たちが一方的に答えを返す前に、まず「なぜ、この方はこういう質問をされるのだろうか」と、その悩みの背景や根源を知ろうとする姿勢が大切です。

 可能であれば、伝える相手を細分化し、それぞれの層に響くような広報を行うのが最も効果的です。

何を?(発信する内容を決める)

 広報という「手段」を使って、具体的に「何」を発信するのかも大きな課題です。 例えば、以下のような内容が考えられます。

  • み教え(直接的):掲示板の言葉、法話の掲載など
  • お寺の情報(信頼性):お寺の歴史、建物の紹介など
  • 住職・寺族の発信(親近感):日々の様子、趣味、考え方など
  • 設備の情報(有用性):納骨堂や合同墓のご案内など

 これらは独立しているのではなく、相互に影響し合います。例えば、住職の趣味(親近感)をきっかけにお寺に興味を持ち、法話(み教え)に触れる、という流れも生まれます。

 まずはご自身のお寺でどのような情報が提供できるかを整理し、少しずつ発信を始めてみましょう。

お寺の広報をする上で最も大切にしたい心構え

相手の立場に立っているか(マーケットイン)

 広報をする上で私が大切に思っている言葉が2つあります。

「For The Customers」
「すべては、お客さまの「うまい!」のために」

 一つ目の「For The Customers」はダイエーの理念です。大学生の頃にダイエーの子会社でアルバイトをしていたのですが、名札の下にこの理念が掲げてありました。

 二つ目の「すべては、お客さまの「うまい!」のために」はご存じの方も多いでしょう。アサヒビールの理念です。

 二つに共通しているのは「お客様の立場に立つ」という視点です。

 これは「マーケットイン」と呼ばれる考え方に近いです。つまり、「顧客(相手)は何を必要としているか?」という視点を最優先にサービスを提供する姿です。

 私たちお寺に当てはめると、 「ご門徒の皆様は、今、何に悩んでいらっしゃるのだろうか?」 「その悩みに対し、仏教として、お寺として、お伝えできることはないだろうか?」 と考え、発信していく姿勢こそが「マーケットイン」と言えます。

 広報は、まず相手の立場に立ち、何を必要とされているかを考えることが大切です。

押しつけになっていないか(プロダクトアウトへの注意)

 「マーケットイン」の対義語に「プロダクトアウト」があります。 これは「我々は何を作れるか?」「これは良い製品だ」という、作り手の理論を優先する考え方です。

 お寺にとって、私たちが「本当に良いものだ」と信じ、提供したいものは「仏法」そのものです。 しかし、ここで注意したいのは、それが「押しつけ」になってはいけないということです。

 自分の趣味の世界を友人に熱く語りすぎて、かえって引かれてしまった経験はないでしょうか。仏法も同じで、その素晴らしさを伝えたいあまりに一方的になると、相手に悪い印象を与えてしまいかねません。

 「お寺が思う”理想のご門徒像”を、ご門徒に押しつけてはいないか?」

 これは、私たちが常に自問自答し、気をつけねばならない重要な視点です。

まとめ

 お寺の広報活動を成功させる鍵は、以下の点に集約されます。

  1. 「なぜ・誰に・何を」を明確にする。 特に「なぜ(目的)」が定まれば、やるべきことが見えてきます。
  2. 相手を知る努力を怠らない。 寄せられる質問や悩みにこそ、発信のヒントがあります。
  3. 「相手目線(マーケットイン)」を徹底する。 常に「相手が何を求めているか」を起点に考えます。
  4. 「押しつけ(プロダクトアウト)」にならないよう注意する。 伝えたい情熱と、相手の受け取り方のバランスが重要です。
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